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シェービングの科学
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4. 近代的なカミソリの製造工程

 2) 近代的な刃の製造工程

 a. 鋼帯の下準備と研磨

 最初の折りたたみ式西洋カミソリは、刃物の専門メーカーが小さな工場で一本一本手作業で製作していました。これに対して、近代的なカミソリ刃は、高速で流れる大変複雑で高度な技術工程で生産されています。安全カミソリの黎明期には、炭素鋼(カーボン)で刃を製作していましたが、この種の鋼はすぐに錆びてしまうので、浴室の湿気の中では、短期間で使用できなくなってしまうことが多々ありました。 シェフィールド・レザー・メーカー:1814年」
シェフィールド・レザー・メーカー:1814

 その後1950年代半ばになると、ステンレス鋼がカミソリの刃に使われるようになり、刃先の寿命が大幅に延びました。カミソリの刃は、クロム含有量が12%以上の軟らかいステンレス鋼帯を一連の工程に通して作ります。この製造工程には、重さ50kg、長さ3.2kmもの鋼を巻いた大径コイル(=鋼帯)を投入しますが、この鋼帯は、金属組成、定常分析、物性テスト、幅および厚さに対する厳格な規格に適合しなければなりません。ほとんどのレザー刃は、まず一連の切り込みや穴を打ち抜くプレス工程に通します。この切り込み・穿孔操作は、その後の加工作業で刃の位置を決めたり、最終組立工程でカートリッジに装着したりするためのものです。プレス工程を出た鋼帯は、次の工程に進みます。
 製鋼所から納入された鋼帯は、刃を付けるには軟らかすぎるので、焼き入れという作業をしなければなりません。そのために1,100℃以上の温度の炉内で、酸化しないように制御した下で鋼帯を加熱します。加熱する時間と温度は、最終製品の出来にきわめて大きな影響を与えます。加熱時間が短すぎたり、温度が低すぎると、軟鋼になってしまいます。逆に、加熱時間が長すぎたり、温度が高すぎると、研磨不適な状態になってしまうのです。
 次に、鋼帯を装置内で−70℃の温度にさらして、焼き入れ工程が終了します。その後鋼帯を再び数百度に加熱して、焼き戻しを行います。焼き戻しは、硬くもろくなった鋼帯に、適度の延性や柔軟性をあたえる工程です。こうした熱処理操作には、それぞれ精細なコントロールが必要で、いかなる操作であれ、正しく行われないと、高品質の刃の製作には不適切なものになってしまいます。優れた品質の焼き入れ刃物鋼帯を生産できるのは、高度な技術を有するメーカーだけです。
 焼き入れ・焼き戻し工程を経た鋼帯は、研磨工程に送られて、鋭利な刃が形成されていきます。カミソリの刃は、研磨した鋼にすぎないという多くの人々が信じている俗説とは異なり、実際の刃先は、三つの面から構成されており、各面が協力しあって、鋭利で耐久性の高い刃先となっています。すなわち刃物用鋼帯を、次第に細かくなる超高速自動研削機に通し、荒砥石車でほぼ仕上がりの形状に研削して極く細かい天然砥石車で仕上研磨するのです。そして最後に、高速度革砥で最終の刃先形状と滑らかさを与えます。

刃先の研削
刃先の研削
 刃先の研削 刃先の厚さは、厳密にコントロールされなければなりません。刃が鋭利でないと、剃り味が悪くなってしまいます。しかし逆に、鋭利過ぎても、刃先の破損が起こりやすくなります。刃を作る研削装置は、装置の機密性を保つために、高度な知識と技術を有している、社内の設計者と技師が開発したものです。適切な刃先形状を製作するとともに、何百万枚もの刃を毎日一貫して確実に生産するには、装置設計に高い精度が要求されます。研削した鋼帯は、個々の刃に切断して、バヨネットと呼ばれる長いピンに装着し、シェービング製品に仕上げる組み立て工程に送ります。

 

 
     

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