【医師監修】カミソリ負けを防ぐ方法は?原因と対策を解説

カミソリ負けは、髭剃りや体毛の処理の際に起こる代表的な肌トラブルのひとつです。カミソリ負けの赤みやヒリヒリ感、かゆみなどの症状が出ると、見た目に影響するだけでなく、日常生活にも不快感を与えます。特に、シェービングの前後に肌ケアを怠ると、肌への負担が増してカミソリ負けのリスクが高まるため、保湿などの基本的なケアを意識することも大切です。
この記事では、カミソリ負けの症状や3つの要因、カミソリ負けを防ぐ方法、カミソリ負けをしてしまった場合の対処方法について解説します。
カミソリ負けとは肌トラブルのひとつ
カミソリ負けとは、髭剃りや体毛の処理の際にカミソリの刃が肌表面の角質を傷付けることで起こる炎症、赤みなどの肌トラブルです。代表的な症状には、赤み、かゆみ、ヒリヒリとした痛み、軽い出血や小さな傷などがあります。
肌が乾燥していたり、皮膚に汚れが付着していたりする状態でカミソリを使用すると、カミソリの刃と肌の摩擦が大きくなり、カミソリ負けが起こりやすくなります。特に、敏感肌の方や切れ味の落ちた刃を使っている方は注意が必要です。カミソリ負けは放置すると症状が悪化することもあるため、予防と早めのケアが大切といえるでしょう。
カミソリ負けの主な症状
カミソリ負けは、肌表面や毛穴が傷付くことでさまざまな症状が出る肌トラブルです。ここでは、カミソリ負けの代表的な3つの症状について解説します。
肌が赤くなり、ヒリヒリとした痛みが出る
カミソリ負けでよく見られるのが、剃った後に肌が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを伴う症状です。
これは、誤った剃り方によって過度に角質が除去され、肌のバリア機能(角質層)が低下することで起こります。バリア機能(角質層)が弱まった肌は外部刺激や乾燥の影響を受けやすくなり、炎症・痛みが発生しやすくなる可能性があります。
毛穴に赤みや出血が見られる
カミソリ負けの症状として、カミソリで剃った後に毛穴の周りが赤くなったり、出血したりすることも見られるでしょう。
これは、カミソリの刃が毛穴周辺の皮膚を直接傷付けることが原因です。特に、刃を強く押しあてるような剃り方は、毛穴への負担が大きく、出血のリスクを高めます。
肌にブツブツやニキビができる
カミソリで剃った後に、小さなブツブツやニキビのようなできものができることも、カミソリ負けの症状のひとつです。
この症状は、剃っているときに皮膚や毛穴が傷付き、そこから雑菌、汚れが侵入して炎症を起こすことで発生します。なお、剃る前に肌が清潔でない場合は、皮脂や汚れが毛穴に詰まり、ニキビの原因となることも少なくありません。
カミソリ負けを招く3つの要因
カミソリ負けの多くは、日常のシェービング習慣や肌の状態によって生じます。ここでは、カミソリ負けを招く主な3つの要因を解説します。
シェービング剤を使っていない
カミソリ負けを招く要因のひとつが、シェービング剤を使っていないことです。
シェービング剤を使うと、カミソリの刃と肌のあいだにクッションが生まれて、摩擦による刺激が減るため、カミソリ負けを防ぐのに役立ちます。髭を剃る前には、必ずシェービング剤を肌にまんべんなく塗りましょう。
シック・ジャパン社内評価(マイクロスコープを用いた肌のキメ観察2024年実施)
試験方法:シェービング剤を付けて、または付けずに同じ回数・同じシェーバーで肌を剃った2時間後に肌の表面を撮影(同一被験者の前腕内側で評価)
カミソリの切れ味が悪い
カミソリの切れ味が悪いことも、カミソリ負けを招く要因として挙げられます。
切れ味の悪くなったカミソリを使うと、刃が肌や毛に引っ掛かることがあり、スムーズに剃れなくなるため、肌に必要以上の負荷がかかります。また、きれいに剃れないので同じ箇所を何度も往復することになり、それが摩擦や刺激となって炎症・ヒリヒリ感を引き起こしやすくなるため注意しましょう。なお、肌質に合わないカミソリの使用も肌トラブルの原因となります。
■カミソリの刃の拡大図
左)新しい刃 右)使用回数を超過して刃こぼれをした刃
シェービング後のケアが不足している
シェービング後のケアが不足していることも、カミソリ負けを招く要因のひとつです。
シェービング後の肌はデリケートな状態で、乾燥や炎症を起こしやすくなっています。こうしたトラブルを防ぐためには、「肌をこすらず、やさしくタオルで押さえるように拭く」「カミソリ負けが気になる場合は、抗炎症成分配合のスキンケアアイテムを使用して保湿する」といったアフターケアを徹底してください。
カミソリ負けを防ぐ方法
カミソリ負けを防ぐためには、剃る前の準備とカミソリのお手入れ、剃った後のアフターケアが欠かせません。準備、お手入れ、アフターケアを正しい手順で行うことで、肌への負担を大幅に減らすことができます。
剃る前には肌を温め、シェービング剤を使う
カミソリを使って剃る前にぬるま湯で肌を温めることで毛穴が開き、毛がやわらかくなり、剃りやすくなります。さらに、シェービング剤を使うと肌とカミソリの刃のあいだにクッションができ、摩擦から肌を守ることが可能です。ジェルやフォームなど、自分の肌質に合ったシェービング剤を選びましょう。
適切な頻度でカミソリの刃を交換する
お手入れをしていてもカミソリの刃は劣化し、次第に切れ味が落ちて肌に傷をつけやすくなります。そのため、カミソリの刃は毎日剃る場合は、2週間に1回程度を目安に交換することが必要です。カミソリの刃の交換目安は、髭剃りの頻度や毛の硬さにもよるため、切れ味の低下を感じたら適切に刃を交換することが大切になります。
剃った後には保湿ケアをする
カミソリで剃った直後の肌は敏感で、外部刺激に弱くなっている状態です。この状態で放置すると、ヒリヒリ感や赤み、乾燥などの肌トラブルが起こりやすくなります。そのため、カミソリで剃った後はすぐに美容液や化粧水、乳液、クリームでしっかり保湿してください。特に、カミソリ負けを防ぐグリチルレチン酸ステアリルなどの抗炎症成分が配合された医薬部外品がおすすめです。
カミソリ負けの対処方法
カミソリ負けによる赤みやブツブツなどの軽度な症状であれば、市販の皮膚用薬でケアできます。皮膚用薬は、「湿疹」や「かぶれ」といった効能が記載されているものを選び、数日間はしっかり様子を見ることが大切です。
症状が改善しない場合や、かゆみ・痛みが強くなる、あるいは症状が広がるといった場合は、早めに皮膚科を受診してください。自己判断で処置を続けると炎症が悪化する可能性があるため、医師の診断を受けることをおすすめします。なお、皮膚科では基本的に保険診療で治療を受けることができます。
正しいケアでカミソリ負けを防ごう
カミソリ負けは、切れ味の悪いカミソリの使用や誤った剃り方、肌の乾燥など、さまざまな要因が重なることによって起こる肌トラブルを指します。カミソリ負けを予防するには、剃る前に肌を温め、シェービング剤を使用して肌に負担をかけないよう丁寧に剃り、剃った後には十分な保湿ケアを行うことが大切です。カミソリ負けの症状が出てしまった場合でも、早期に適切な対処を行えば悪化を防ぐことができます。正しいシェービングとケア習慣を身につけることで、快適ですこやかな肌を保ち続けられるでしょう。
教えてくれたのはこの先生!
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上嶋祐太先生 新宿駅前うわじま皮膚科 院長。浜松医科大学卒。日本皮膚科学会専門医・指導医、認定産業医。東京大学医学部附属病院、東京警察病院、東京逓信病院の皮膚科にて研鑽を積み、形成外科のキャリアを併せ持つ。赤ら顔・血管腫治療のブイビームレーザーや、ほくろ除去、粉瘤(ふんりゅう)のくり抜き法など、手術経験は数万例に及び豊富。保険診療、美容医療のほか、スキンケアから個々に合った最適なカスタマイズ治療を得意とする。 |